連載 母乳育児Q&A
Q 舌小帯を切りなさいといわれたのですが
根津 八紘
1
1諏訪マタニティークリニック
pp.609
発行日 1987年7月25日
Published Date 1987/7/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611207181
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A 最近,乳房トラブルの有無,母乳分泌の良否が,舌小帯短縮症や母親の食事の内容等のみで論じられる傾向が見受けられます。しかし,これはあまりにも医学上の常識を無視するものと思われ,母子にとって真の援助にはつながらないと考えます。
当施設においても,昭和52年から55年の4年間は桶谷式乳房治療手技を取り入れ母乳育児指導を行なっていましたが,その間4〜5割の児の舌小帯を切断していた時期がありました。しかし,切断し始めますと,切断の意味もあいまいなため,すべての児の舌小帯が異常に見えてしまい,少しの付着も放置できなくなってしまいました。そこで,それ以後は一定の規準を設け,舌小帯付着のために舌尖がハート型にくびれているような例,および舌小帯が舌の下2/3以上付着しているような例のみ切断することにしました。そうしましたところ,少々甘い診断でも1〜2%の頻度となりましたが,何の変化もなく,指導体制の変化から母乳率も上昇,乳房トラブルは激減しています。
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