研究・調査・報告
母性の発達変容過程の研究(2)—子どもの好き嫌いと母性性の発達との関連について
細井 啓子
pp.594-601
発行日 1987年7月25日
Published Date 1987/7/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611207178
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戦後,家(イエ)制度が崩壊し,核家族化が進み,子育ても夫婦(特に妻)が一手にひきうけることが多くなってきた。昭和50年代に入ると,高齢化社会や欧米の女性解放運動などの影響をうけ,女性のもつ結婚観・夫婦観・家族観などが徐々に変化してきた。さらに,出生率の低下,女子の高学歴化,就業率の増加,「男女雇用機会均等法」など,戦前とは大いに変化した状況の中で,「女性とは何か」,「母親とは何か工が今改めて問われているのである。
心理学では,乳幼児期,特に母子間で得た心理的体験はその後の人格形成の上で大きな影響を与えるという考えが中心をなしていた頃は特に,養育態度に関する研究が多くみられた。さらに最近では心理学だけでなく,医学,特に従来の産科学に加え,小児医学においても胎児・新生児期の母子相互作用などの研究が進められ,母子関係の重要性が科学的に明らかにされてきている。
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