特集 産科領域の感染症と看護
妊娠・分娩・産褥期の感染予防対策
高橋 克幸
1
,
池野 暢子
1
1国立仙台病院産婦人科
pp.480-487
発行日 1987年6月25日
Published Date 1987/6/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611207153
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はじめに
妊婦が感染すると,疾患の種類や感染の程度によっては,単に母体のみの症状ではおさまらず,胎児の死亡や障害,さらに出産後には児の発達異常をおこすこともある。しかし,その原因については詳しくは明らかにされていない。母体感染の時期,特に器官が分化する妊娠初期では,しばしば流産することもあるが,中にはそのまま妊娠が継続されて異常胎児を出産することもある。
侵入した細菌に対して母体は自己防御反応を示すが,これには母体因子,胎盤因子,そして胎児のもつ免疫機構が主である胎児因子の3つが,関係因子として挙げられている。通常はこれらの因子が関与するので,母体感染では胎児にまで影響が及ぶことは少ない。
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