特別記事
周産期管理におけるコンピュータ利用の現状と将来
井口 佳代
1
,
高木 耕一郎
2
,
中林 正雄
2
,
武田 佳彦
1
,
坂元 正一
2
1東京女子医科大学・産科婦人科
2東京女子医科大学・母子総合医療センター
pp.239-243
発行日 1987年3月25日
Published Date 1987/3/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611207094
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はじめに
現在,パーソナルコンピュータは,性能の向上と価格の低下により,各分野において幅広く取り入れられているが,医療分野においてもコンピュータの導入が一般化されつつある。時々刻々と変化する生体情報を連続的に監視し,急変を早期に発見・診断するために多くの医療機器が開発されるとともに,これらから得られるデータは膨大な量となり,今やコンピュータの手を借りなければ解析処理しきれないほど情報過剰な時代となってきた。特に,今まで産婦人科と小児科斗の谷間にあった周産期分野においては,母体自身のリスク,胎児の発育や生体情報,分娩俵の児の管理,そしてその後の発達状態という,各分野にまたがった多量の情報を処理していかなければならない。この点から,周産期医療の現場では多目的のモニタ等,新しい医療機器や情報処理用のコンピュータが大変重要なものとなってくる。しかし,1日中慌ただしく立ち働く産科医療従事者には,キーボードの前にじっくりと腰をすえてデータを入力処理する暇はない。そこで,各業者・各施設において,専門知識のない人でも簡単なキー操作で情報を入力処理できるような工夫がなされている。
東京女子医大母子総合医療センターでは,開設以来多くの新しい医療機器を導入して,胎児から新生児,小児発達までの連続的な母児の生命の管理を効率よく行なうことを目指している。
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