Medical Scope
急性白血病と妊娠
島田 信宏
1
1北里大学病院産科
pp.179
発行日 1987年2月25日
Published Date 1987/2/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611207083
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多くの疾患に対する治療が著しい進歩をとげ,今まで妊娠・分娩は不可能と考えられていた疾患をもつ女性が,「先生,私はいまの世の中でも妊娠してはいけないのでしょうか?」と質問を投げかけてくるようになりました。そんな疾患のひとつに白血病があります。また,妊娠してから白血病であることがわかる場合もあります。そんなときにどのように対処すべきなのか,急性白血病と妊娠の関係について今日までの成績をきちんとまとめた論文がドイツで発表されました。今月はこの話題からお知らせしましょう。
妊娠に白血病を合併すること自体,非常にまれなことですが,世界的には1870年から1983年にかけて454例の白血病合併妊娠が報告されています。このうち262例が急性白血病,182例が慢性白血病で,10例は不明ということです。急性白血病合併例のうち児が生存したのは87%で,1950年以前は32%であったことを考えると,非常によくなっていることがわかります。急性白血病を合併した妊婦の87%までが生存しうる新生児を分娩できる時代になってきたということです。
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