[本誌創刊40巻記念論文入選作―テーマ/「21世紀の母子保健」] 優秀作
21世紀の母子保健
本山 博恵
1
1林産婦人科医院
pp.1090-1095
発行日 1986年12月25日
Published Date 1986/12/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611207026
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はじめに
戦後我が国の周産期死亡や母体の死亡は激減し,今や分娩が"危険"という認識をもつことはほとんどないと言える。いわば女性にとって幸せな時代である。その一方で,少産が定着し,出生率は箸しく減少し,年間出生数は150万人を割って久しく,女性の合計特殊出生率が1.76と国際的にも著しく低下している今日では,むしろその一生に1〜2回しか経験しない妊娠や分娩に対する関心は一面では大変強くなっている。
今日では,産科学,小児科学をはじめ医学の進展によって,母子救急をはじめ分娩をめぐる多くの問題は,より安全に終始することが出来るようになったが,このことはむしろ,本来より人間的に,自然な家族的であるべき出産に対して家庭の場から,より多く医療技術の介入が占める役割が多くなり,またさらに一層管理された分娩が多くなってきているといえる。
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