特集 「21世紀福祉ビジョン」と病院
[対談]21世紀における社会保障と医療
宮澤 健一
1
,
坂上 正道
2
1社会保障研究所
2日本医師会
pp.18-24
発行日 1995年1月1日
Published Date 1995/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541901413
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21世紀の社会保障に対する基本的考え方
「高負担・高福祉」か「低負担・低福祉」かという議論
宮澤 これからの社会保障全般の方向をどう見るかということで,よく言われるのは,「高負担・高福祉」か,あるいは「低負担・低福祉」か,その中間か,ということです.今度高齢社会福祉ビジョン懇談会が発表した「21世紀福祉ビジョン—少子・高齢社会に向けて」(以下,「ビジョン」と略す)でも,3つのタイプに分けて方向を示しています.しかし,この3タイプは,それだけを議論すると,重要な観点が抜けてしまいます.たとえば給付と負担のシステムがそれぞれどうなっているかとか,あるいは個人の側の選択可能性の途がどう開かれているのか,さらには,必要な情報がきちっと用意されているのか,そうした中身とつなげて議論しないと,3つのどれを選ぶかと言われても戸惑うのではないかと思います.
たとえば負担(税金と保険料)の問題では高齢者と若者との問で負担がどう違うのかとか,給付はどういうルートを通って流れているのかがわからないと,国民としては「高福祉・高負担」なんてとんでもない,「中福祉・中負担」でもとてもとても,ということにもなりかねません.スウェーデン型とか,アメリカ型と言うだけでは無意味です.
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