連載 周産期の母子の看護
心理社会的アプローチ・4
妊娠に伴う「心理的喪失」と看護援助
新道 幸恵
1
,
和田 サヨ子
2
1国立公衆衛生院衛生看護学部
2聖母女子短期大学
pp.614-618
発行日 1986年7月25日
Published Date 1986/7/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611206920
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妊娠によって妊婦が得るもの,失うもの
妊婦は,妊娠によって,胎内に新しい生命を得る。そして,新しい生命を自分の胎内に宿したことによって妊婦は多くのものを得ていくことになる。たとえば,胎内で成長・発達する新しい生命は,予定された妊娠や待ち望まれた妊娠であれば特に,妊娠の喜びをふくらませ,色々な夢や希望を妊婦に与える。
妊婦は現実に母親となる日,つまり,赤ん坊の産声を聞くまでは,自分が母親となった時のことを色々と空想して楽しむ。また時には,その空想の楽しみに夫が加わり,空想を豊かにすることもある。妊娠は,妊婦自身に,母親となることへの希望が現実のものとなる喜び,妊娠に関して抱いていた期待を実現できることへの喜び,周囲の人人に祝福される喜びを与えるのである。
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