Medical Scope
妊婦の貧血と胎児の発育
島田 信宏
1
1北里大学病院産科
pp.183
発行日 1986年2月25日
Published Date 1986/2/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611206829
- 有料閲覧
- 文献概要
妊娠後半期になってくると,妊婦の血液は液体成分が増えて薄められたような状態となり,水血症に近くなってくるのは諸君もよく知っていることでしょう。その結果として,血液を検査してみると,低色素性の貧血の所見が現われてくるのです。
この状態を一般に「妊婦貧血」あるいは「妊娠貧血」とよんでいますが,WHOの診断基準では血中のヘモグロビン値が11.0g/dl以下ということになっています。ところが,この診断基準をもとにして妊婦貧血を考えると,日本人の全妊婦の約半数が貧血状態にあるということになってしまいます。この妊婦の約半数が示す貧血状態は果たして病的なものなのでしょうか。ここに第1の疑問が生じてきました。また,この貧血といわれている妊婦の胎児の発育はどうなのでしょうか。何か障害が起こっているのでしょうか。これが第2の疑問点となってきたのです。
Copyright © 1986, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.