特集 母乳育児法—桶谷式とSMC方式
母乳哺育の基礎知識
根津 八紘
1
1諏訪マタニティークリニック
pp.738-746
発行日 1992年9月25日
Published Date 1992/9/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611903298
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
はじめに──科学的な母乳育児指導
母乳哺育の必要性が再考されてから久しく,その利点は何かと今改めて問う人はいないでしょう。母乳育児を支える乳房管理法に関してはいくつかの方式があみ出され,ある意味では,母乳育児指導に関して混乱を巻き起こしているともいえます。これと同じようなことは,分娩管理に関するケアに関しても起こっています。乳房管理・分娩管理のケアは,看護婦や助産婦に任されてきましたが,任されている看護婦や助産婦の方々は,8時間勤務の中でふりまわされて,それらに関して疑問を感じても,また研究したくても,医師のように時間も場所も資金も与えられず,旧態依然の内容でその場かぎり的に対応してきたというのはいい過ぎでしょうか。
医師や保健婦,助産婦,看護婦が,妊娠・出産・育児期にあるお母さん方に継続看護をする時,提供するケアと,お母さん方のニードの間には大きな隔たりがあります。特に,前述した分娩時の看護,そして産褥・母乳育児指導,これら2つの場面でそれが見受けられます。
Copyright © 1992, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.