特別企画 母乳哺育の普遍妥当性
わたしの助産術・1
母乳哺育指導の実際
桶谷 そとみ
,
井口 久恵
1
1静岡鉄道病院産婦人科外来
pp.606-615
発行日 1979年9月25日
Published Date 1979/9/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611205598
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1.はじめに
私たちの行なっている乳房治療手技では,乳腺体と胸筋との間を基底部と呼んでいる。この基底部は,腺胞部位の拡張・縮少に伴い付随的に腺胞の機能作用に順応される,大切な役割を果たしていると言える。ホルモン作用とともに腺胞部位の催乳感に順応し,結合織が腺胞部位を守るために拡張または縮少し,乳汁を充満させるための備えとして余裕を与えている部位でもあると思う。
したがって,この部位が,母体のいろいろな状態,つまり妊娠,作業,体質,特に環境などの影響により,自由に伸展できず,密着・付着し,あたかも癒着状態のようになり,腺胞内の乳汁充満にもよるが,特に蓄積の度合が甚しい場合(膨満)は全組織が圧重・圧迫されるので,乳管・乳腺を狭搾して乳汁分泌を抑制することになる。更に腺胞が圧迫されると,結合織部位にはみ出して硬結状態となり,乳房の大小にもよるがお餅のような感じになることがある。
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