対症看護講座 出血
分娩時の出血
笠原 トキ子
1
1関東逓信病院産婦人科
pp.15-19
発行日 1965年9月1日
Published Date 1965/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611203035
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はじめに
分娩にともない第1期には頸管の開大により卵膜が剥離することによって,また第2期の終わりごろには腟入口部粘膜の裂傷などによって少量の出血がおこるし,さらに第3期には胎盤の剥離によって200ml程度までの出血がおこりうるが,これらは分娩の進行が正常ならばたいてい自然に止血するから放置してさしつかえない.しかし一方,分娩中には種々の異常出血がおこることがあり,時には非常に短時間の間に大量の出血を招来して,産婦の予後に重大な影響を与え,しばしば生命を危険に陥らせる結果となる.分娩中の乏血による死亡が,母体死亡の大きなパーセントを占めていることはその重大さを物語っている.したがって分娩時には,出血に対し常に周到な注意を払い,少しでも異常を認めたときには,早期にそれを診断して原因を確かめ,迅速に適切な処置ならびに看護がなされねばならない.
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