原著
分娩時異常出血について
市村 桂子
1
1順天堂醫大産婦人科教室
pp.105-111
発行日 1952年3月10日
Published Date 1952/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409200594
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緒言
日本婦人正常分娩時平均出血量については,十島の104c.c.,高塚の173c.c.福島の179c.c.盤瀬の284.76c.c.等の報告があり,生理的出血量は大體200c.c.〜300c.c.とされているが,なお一般に500c.c.以下の場合之を正常と認めており,從つて500c.c.以上を異常と見做す。J.H.Randall(1947),J.Rss,Vaut (1950)等は600c.c.以上を後出血とし,またPastoreは出血量は患者の體重と關係ありとし,體重の1%以上の出血を後出血と考えるべきであるといつている。勿論出血に依る影響は個人的に相違し,比較的少量で貧血症歌を起す者もあり,また比較的大量でも何等障碍を現わさぬ者もある。
異常出血の頻度も,徳永の20.2%のように高率のものもあるが,鷲山の2,3%のように極めて低率を示しているものもある。我々は2452例の産婦について分娩時出血量を調査したところ,50Oc.c.以上のもの283例を得たので,これを統計的に觀察した。
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