産科内分泌学入門・16
胎児—胎盤機能検査としての母体のエストリオール(E3)測定
安水 洸彦
1
,
加藤 順三
1
1山梨医科大学産婦人科
pp.625-629
発行日 1984年7月25日
Published Date 1984/7/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611206490
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
約30年前までは,産科学のメインテーマは,妊娠・分娩時の母体の危険をいかに防止するかにあった。その後,呼吸・循環管理や抗生物質等の治療薬に代表される臨床医学の画期的な進歩とともに,母体をとりまいていた病原諸因子が大幅に駆逐され,周産期の母体死亡率は著しく改善された。そして,新たな課題として,児の周生期死亡率・罹病率の改善に向けての努力が精力的になされるようになった。出生前医学(prenatology)や胎児医学(fetology)という新しいジャンルも確立されようとしている。
しかし,子宮という密室内で生活している胎児は,母体と違って直接診察することはできない。まして,胎児および妊娠状態という生物学的過程は,外からの侵襲に対して最も影響をうけやすい時期である。胎児に関する情報を得る手段は,きわめて侵襲の少ない安全なものでなければならない。
Copyright © 1984, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.