今月の臨床 ホルモン補充療法;HRT
HRTのプロトコール
12.エストリオール
山口 斌
1
,
草薙 鉄也
1
,
玉川 晶子
1
Takeshi Yamaguchi
1
1札幌鉄道病院産婦人科
pp.838-839
発行日 1993年7月10日
Published Date 1993/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409901369
- 有料閲覧
- 文献概要
近年日本人の平均寿命が延び,以前の人生50年と言われた時代から,現在は人生80年と言われるようになった。与えられた人生を夫婦仲良く健康で過ごしたいと言うのがすべての人々の望むところである。女性のライフサイクルを見ると20歳代で結婚し,ちょうど閉経期頃に子育てが終わり子供達は独立し,その後の30年に及ぶ夫婦二人だけの生活がえんえんと続くことになる。子育てに要した期間よりむしろ永い老後の夫婦の生活を円満に仲良く健康に過ごすために,どうしても産婦人科医の手助けが必要となる。すなわち閉経を境として卵巣機能の低下により種々の症状が出現する。従来は閉経前後に出現する更年期障害の治療が主として行われていた。しかし近年卵巣機能の低下に伴い各種の疾患が発生することがわかり,それらに対処する必要に迫られてきた。
卵巣機能の低下に伴う症状としては,①急性症状とも言うべき閉経期前後より出現するのぼせ,発汗,ほてりなどの血管運動障害。②エストロゲン欠乏に伴う腟,尿道粘膜の萎縮による性交痛,排尿困難,尿失禁などの亜急性症状。③慢性症状として骨粗鬆症,脂質代謝への影響による心血管障害,などである。
Copyright © 1993, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.