Medical Scope
妊婦とお酒
島田 信宏
1
1北里大学病院産科
pp.251
発行日 1983年3月25日
Published Date 1983/3/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611206204
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妊娠しているひとに「お酒をのんでしまったのですけれど,おなかの赤ちやんに影響ないでしょうか?」とたずねられたことはありませんか。最近ではマスコミを通じて,お酒(アルコールという意味)は男性だけのものではなく,みんなのためにあるのだというような宣伝がよくみられます。そして,女性の方でも大いにメートルをあげておられる風景がみられるようになりました。家庭でもどこでも,妊婦がアルコールを口にするチャンスはいくらでもあることでしよう。そんなときに,ふと胎児への影響はどうなんだろう……と考えるのは誰しもでしょう。それに対する答えは何といったらよいでしょうか。助産婦である諸君は母性保健指導の面からも,しっかりとした考えを根拠に持って,妊婦を指導する立場からもう一回考えてみて下さい。
アルコールと胎児の話題が論じられるようになったのは胎児性アルコール症候群(FAS)という疾患が明るみにでてからです。母親が妊娠中にお酒をのみすぎ。アルコール中毒のようになっていると,胎児もアルコールづけになり,神経系の発達をおくらせ,出生後も著しく全ての発達,ことに精神神経系の発育が遅れ,心身障害児となってしまうことがあります。これを胎児性アルコール症候群というのです。
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