調査研究実践講座・12
人の特性[1]
林 謙治
1
1国立公衆衛生院母性小児衛生学部
pp.66-71
発行日 1983年1月25日
Published Date 1983/1/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611206172
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人間のあらゆる行動は意識的にせよ無意識的にせよ,いくつか決まったパターンが交互にくり返し出現しているに過ぎないといわれている。このことは疾病の発生についても同様であり,疾病の罹患を集団としてみると,まったくデタラメに起こっているわけではなく,ある一定の規則性を持っている。こうした規則性を把握することが疫学の基礎であり,これによって疾病が将来どのように発生するかを予測する手がかりができるばかりでなく,病因に関する理解を深めることにもつながり,ひいては撲滅,予防の方法論の樹立にも関係してくる。
疾病発生の規則性を知る上でとらえなければならないもっとも基本的な3つの要素は,この疾病に誰がかかったか?,どこでかかったか?いっかかったか?である。すなわち人,場所,時間についての知識である。これら3要素に関連した疾病の頻度と分布を調べることが記述疫学であり,疾病の決定要因を調べることが分析疫学である。
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