私と読書
「性の発達と教育」—コレソフ,セリヴェロワ著 柴田義松 訳監修
浅井 淳子
1
1三楽病院付属助産婦学院
pp.168-169
発行日 1982年2月25日
Published Date 1982/2/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611205980
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身心の発達にそった性教育を
人間は,この世に生を受けると同時に性を与えられる。言いかえると,母方からの遺伝物質を持った卵子と,父方の遺伝物質を持った精子が受精した瞬間に,性別が決定するのである。しかし,自分は「男なのだ」「女なのだ」と初めから自覚しているわけではない。自分の育ってきた環境の中で,自然と性別の違いを現解してきたのだと私は思う。「あなたはおにいちゃんでしょ」とか「男だぞ」「女の子らしく」などと幼い頃から言われ,また,異性の兄弟や姉妹,父親・母親をみて自分と比較し,異なったからだつきをしていることで,性の違いを理解してきたのであると思う。ふとした疑問,たとえば,服装の違い,性器の違いなどから性の違いを知り,やがて思春期近くになり,同性・異性の「男らしさ」「女らしさ」にひかれ,行動や考え方にも違いがあることを知る。
二人姉妹の中で育ってきた私にとって,男の子あるいは男性は,自分(同性)とは違う接しにくい存在であった。しかし,小学校以来,男女共学ということもあり,その違和感も,生活と環境の中で自然にとれ,男の子の行動,考え方,心理を自然に理解し,受けとめていくことができるようになった。もっとも,男女の性徴発達の違い,性成熟の段階が異なること,性の分化,また,それらにホルモンが大きく関与していろことなどを詳しくを知ったのは,ごく最近であるが……。
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