今月の臨床 排卵—誘発と抑制の実際
疾患の治療
18.高プロラクチン血症
森 宏之
1
Hirouki Mori
1
1帝京大学医学部産婦人科
pp.1080-1081
発行日 1992年9月10日
Published Date 1992/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409901004
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高プロラクチン血症の治療は,ドーパミン作動薬による薬物療法と,プロラクチン産生下垂体腫瘍に対する手術・放射線療法が主なものである。ブロモクリプチン(パーロデル錠®)はきわめて強力なドーパミン作動薬で,下垂体のD2受容体と強固に結合して,プロラクチン分泌を抑制し,かつ下垂体腺腫に薬理的に働き,その細胞を壊死に陥らせるといわれている。腺腫と機能性病変とを現在の診断法では明確な鑑別ができないので,機能性高プロラクチン血症は腺腫に移行する可能性がある,または腺腫を含む可能性があると臨床的には捉えておいたほうがよい。下垂体腺腫例でもブロモクリプチンによる薬物療法が,まず薬物療法が第一選択となることが一般的となっている。しかし薬物療法に抵抗性を示す症例もめずらしくないこと,さらに治療中に下垂体溢血などの重篤な合併症を引き起こす可能性があることなどの理由により,腺腫例はその診断が確定,または疑われる場合には原則として脳神経外科医の手に委ねるべきである。
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