サルとヒトの比較産科学・22
サルの妊娠(Ⅸ)
大島 清
1
1京都大学霊長類研究所
pp.955-970
発行日 1981年12月25日
Published Date 1981/12/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611205943
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まえがき
1988年のオリンピック開催地がソウルに決まった。名古屋の完敗である。IOC委員の決断は,日本人の甘い優越感を吹き飛ばした。私自身,どちらでもいいとは思っていたが,それで,名古屋の泥くささが修正されればいい,などという甘い祈りもあったわけだ。便乗地域開発をねらった名古屋は,このまま,また田舎都市から這い上がれず,名鉄はますます不親切さと横暴を押し通すだろう。タモリはますますよろこび,私はますます名古屋ばなれをしてゆくだろう。
名古屋の完敗は,よく考えてみると当然かも知れぬ。勝利は九分九厘まちがいなしと,祝賀パーティの準備をしていた輩の方がよっぽど甘い。市民不参加,行政先行とか,地元に11もの反対団体が出現したとか,名古屋の世界的知名度が低いとか,そんなことよりも,アジア30数か国の中で,日本がすでに2度もオリンピック開催地になっていること,南北に分断されている朝鮮の中で,国を挙げてオリンピック開催を祈念している韓国という点に世界の眼は向けられていたにちがいない。韓国が訴え続けて来たものは何であったか,「五輪は先進国の独占物ではない。第二次大戦後独立した発展途上国にも機会を与えよ」であり,また「分断国家での五輪開催は緊張緩和に役立つはずだ」であった。
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