Medical Scope
外表奇形を見落さないための新生児のみかた
島田 信宏
1
1北里大学病院産科
pp.801
発行日 1981年10月25日
Published Date 1981/10/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611205919
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出生直後の新生児を全身くまなく観察するということの第一の目的は外表奇形を発見することです。諸君も日常の業務として,これは毎日行なっていることですが,ときには,生後何日かして母親から手指がおかしいのでみて下さい……などといわれてみると多指症があり,びっくりした経験があることでしょう。そんな外表奇形の見落しをなくするためには,どんな点に注意して出生直後の新生児を観察していったらよいのか,こんな点について第17回日本新生児学会で解説講演をしましたので,その主旨をここに示そうと思います。
まず,新生児の全身をすみからすみまでよく観察するということが第一ですが,これとて順序よく,順番通りに行なうくせをつけるとよいでしょう。この時にチェック・リストのようなものがあり,右手は異常なし,左手もOKというように,ひとつひとつ何か記載して記録を残すと見落しがなくなるので,各施設で独自のチェック・リストを作って利用なさることをすすめます。観察する者は,新生児のどの部位にはどんな外表奇形ができやすく,また,どんな奇形が見落されやすいかということを知っていなくてはなりません。これを知っているといないでは大変な違いです。それと同時に,外表奇形に対する正しい診断名,疾患名を覚えていなくてはなりません。
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