特集 母子関係論—その最近の成果
母性行動の成立
花沢 成一
1
1日本大学文理学部心理学科
pp.648-653
発行日 1981年9月25日
Published Date 1981/9/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611205896
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母子に関する最近の研究成果には目を見張るものがある。その一つは,出生直後の新生児にも我々の考えるより,はるかにすぐれた能力がそなわっていて,母親や周囲とのコミュニケーションをとっていることを明らかにしている。母性意識や母性行動も直接的には新生児がその能力を駆使して,母親から引き出していくともいえよう。もちろん,母性意識の形成といったことには,その女性の生育歴が基盤となっていることが否めないようである。母子関係研究の真の進歩は,母性と子と父性の幸せをもたらす一つの要素となろう。
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