サルとヒトの比較産科学・25(最終回)
サルとヒトの哺乳と子育て(Ⅱ)
大島 清
1
1京都大学霊長類研究所
pp.231-245
発行日 1982年3月25日
Published Date 1982/3/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611205990
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まえがき──「サルとヒトの比較産科学」を終えるにあたって
「サルとヒトの比較産科学」を旗じるしに,2年3か月という長期にわたって,それこそ黙々として愛読してくださった諸姉への挨拶は,昨年の12月号ですでに述べた。黙々と,という言葉の中には私のいろいろな危惧や願いや感謝の意がこめられている。「危惧」は,せっかく「サルとヒトの比較産科学」と銘うっておきながら,そこに盛りこまれた内容の濃淡が気にかかることであり,果たして「学」と呼ぶにふさわしい中身であったかどうかという質への恐れである。黙々と読んで下さっていると,それがわからないのである。 「願い」は,上の危惧から連鎖的に私の心ににじみでてきた諸姉への切なる願いである。黙々とではなく,もっと御意見を聞かせて欲しい,というお願いである。編集子からもときどき耳にすることだが,助産婦雑誌はみなさんの雑誌,諸姉の直接参加がなければ意味がない。2年有余,この連載に関して,編集部に寄せられた読者からの御意見がほとんど皆無であったことに,得体の知れない惧れが湧いてくる。慎しみ深さ,遠慮深さ,消極的とだけで説明できないものが存在するのかも知れない。私の願いは当然,もっと御意見を,である。
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