特集 生命誕生と医の倫理
医療と消費者運動—患者の権利と義務をめぐって
品川 信良
1
1弘前大学医学部産科婦人科学教室
pp.55-60
発行日 1981年1月25日
Published Date 1981/1/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611205805
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1.はじめに
医療というものは,本来,医師などと患者(さん)側との信頼関係の上に成立って行われるべきものである。医療を提供する側と消費する側との契約,などとみなす考えは,昔の日本や東洋にはあまりなかった。このためか,それともすでに私の頭が古くなったためかはよくわからないが,医療における「消費者」(consumers)という言葉をきくと,私などは,本能的・体質的に,一種の嫌悪にも近いものを覚える。しかし皮肉なものである。その私が今回は,その消費者について書かせられる破目に陥った。うらめしい限りでもある。
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