特集 プライマリ・ヘルス・ケアと助産婦活動
神戸助産婦研修会講演録
プライマリ・ケアと助産婦活動の接点
日野原 重明
1
1聖路加看護大学
pp.800-811
発行日 1980年12月25日
Published Date 1980/12/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611205790
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はじめに
最近,プライマリ・ケア(primary care)という言葉が医療関係者だけでなしに,一般の人々の間でも口にされるようになりました。日本の将来の医療システムを整理し,充実させるためには,プライマリ・ケアは非常に重要なものではないかと思います。そこで,このプライマリ・ケアに助産婦活動というものがどういう関連をもつかということについての,私の考えを述べたいと思います。
まず最初に,なぜプライマリ・ケアという言葉を日本語に訳さないで,原語で用いているかということの説明をしたいと思います。プライマリ・ケアを日本語に訳しますと,一次医療ということになり,この一次医療という言葉は,二次医療,三次医療を踏まえての基礎になる医療システムであるということを意味します。それではわざわざ英語のプライマリ・ケアという表現をしなくても,一次医療と言えばいいのではないかという疑問が起こると思います。数年前にこの言葉を日本に紹介する時に,私は,そう訳そうかと思ったのですが,それで果たして正しく理解されるかどうかということに多少疑問を持ちましたので,訳すことを控えて,原語をそのまま使って今日に至っているのです。
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