特集 先天異常児の出生と家族への援助
ダウン症候群児の家族への看護援助について—診断直後から経過を追った事例を通して
兼松 百合子
1
1千葉大学看護学部
pp.668-675
発行日 1980年10月25日
Published Date 1980/10/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611205770
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1.はじめに
ダウン症候群(以下ダウン症)児をもつ親の心理面についての調査が,近年,わが国でも数多く行われ報告されている。その多くはダウン症児をもつ親の会員や,ある施設で受診した患児の親に対するアンケート調査であり,「いつ」,「誰から」,「どのように診断を告げられたか」,「そしてどう思ったか」などを思い出して答えてもらったものである。そして結論として,早い時期に,小児科医から,両親に対して,わかりやすく,親身で懇切な説明が必要であると言われている1〜3)。これに加えてアメリカの調査では,最初の説明の内容として,ダウン症児をもつ他の親との交わりを持つことや,主治医やカウンセラーやその他の専門家から,今後の援助を受けられるようにすることが有効であるとしている4)。
筆者は,診断を告げられた両親がどのように反応し,対処していくかを追跡的に観察すると同時に,看護者としての援助の可能性を知ることを目的として,事例にかかわってきた。事例は千葉大学医学部附属病院外来で診断を告げられ,直後に筆者に紹介され,外来で第1回の面接を行い,1週間後に第1回の家庭訪問を,そしてその後は原則として1か月に1回の家庭訪問をして,観察ならびに指導を継続してきた事例である。
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