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第1土曜特集 成人診療医にも知ってもらいたい小児神経疾患診療のポイント
ダウン症候群
Down syndrome
玉井 浩
1
Hiroshi TAMAI
1
1大阪医科薬科大学小児高次脳機能研究所
キーワード:
急激退行
,
アルツハイマー型認知症
,
環軸椎亜脱臼
,
移行期医療
Keyword:
急激退行
,
アルツハイマー型認知症
,
環軸椎亜脱臼
,
移行期医療
pp.703-708
発行日 2024年3月2日
Published Date 2024/3/2
DOI https://doi.org/10.32118/ayu28809703
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ダウン症候群は最も頻度が高い染色体異常のひとつで,21番染色体全長あるいは一部の重複に基づく先天異常症候群である.小児期の標準的診療指針は,合併症に対する治療を行うことである.ほぼ全例に運動発達遅延と知的障害がみられ,理解言語に比べて表出言語が遅れる傾向にある.10歳代後半から20歳代前半の若年成人期に,特有の退行をきたすことがある.日常生活への適応能力が急激に低下するもので,症状として動作緩慢,乏しい表情,会話・発語の減少,対人関係では過緊張のため反応が乏しい,興味喪失,頑固,固執,閉じこもり,睡眠障害,食欲不振,体重減少などがみられる.急激退行発症のきっかけとして,対人関係や仕事への不適応などあげられる.近年,ダウン症候群者の寿命が延伸し,現在では約60歳となっている.一般的に40歳頃から筋力が低下する.知的能力も20~30歳をピークに徐々に低下し,40歳をすぎると急速に低下してアルツハイマー型認知症を発症することもある.
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