研究・調査・報告
産褥期における重症薬疹と思われる一症例
工藤 恵美子
,
吉田 敏子
,
殿村 た喜子
,
田辺 ミツイ
,
豊田 よ志
,
長田 久文
,
横浜市愛児センター
pp.649-652
発行日 1978年10月25日
Published Date 1978/10/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611205445
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1.はじめに
わが国の医療の中で,薬物療法の占める割合は諸外国に比し高いと指摘され,しだいにその率は低下しつつある。薬物は本来,副作用なくして効なしといわれており,近年,副作用についての関心が多く持たれている。われわれ産科領域においても,胎児に対する催奇性の問題,薬物の母乳への移行と新生児へのその影響等が論ぜられている折から,妊産婦への投与は慎重に投与されなければならない。産褥期の産褥熱が昔に比べ激減したのは,抗生剤の進歩によるところが一番の理由であり,妊産婦には,ペニシリン系の抗生剤が第一選択として使用されている。しかも,最近サルファ剤の投与については,新生児に及ぼす副作用が論じられ,抗生剤の投与頻度が増す傾向にある。今回,当院において,産褥期にペニシリン系抗生剤を投与し,重症と思われる薬疹を経験したのでここに報告する。
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