重症薬疹

はじめに

　薬疹は入院患者の2～3％^1）に生じるとされる頻度の高い疾患である。軽症例では原因薬剤を中止し，ステロイドの外用や抗アレルギー薬の内服で対処可能である。しかしながら，スティーヴンス・ジョンソン症候群（Stevens-Johnson syndrome：SJS）や中毒性表皮壊死症（toxic epidermal necrolysis：TEN）といった極めて重症な型の薬疹も存在し，しばしば致命的であり，失明や呼吸器障害などの後遺症を残す難治性の疾患としてとらえられてきた。さらには重症薬疹において口腔咽頭病変は患者の9割以上で認められる所見であり^2,3），粘膜症状が重症薬疹の初発症状であることも多く診断的価値が高い。