特集 急増する里帰り分娩
里帰り分娩の功罪
松山 栄吉
1
1愛育病院
pp.395
発行日 1978年7月25日
Published Date 1978/7/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611205399
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最近,東京で産婦人科医の集りがあるさい,「私の病院はこの数年お産の数が随分減っているが,あなたの病院はどうか」というようなことがよく話題になる。全国の出生数が,最近は昭和48年の約209万をピークに,毎年漸次減少の傾向にあるので,東京でも分娩数が減ってもなんの不思議もないが,それにしても少し減りすぎるように思われる。
母子衛生統計から,実際に減っているかどうかを調べてみた。昭和44,47,50年の東京都における出生数が,その年の全国の出生数の何%に当たっているかを調べてみたところ,それぞれ12.1,11.3,9.8%という値であった。同じ年の東京都の人口が全国の人口の何%を占めるかを計算してみると,それぞれ11.1,11.3,10.5%という数字である。この両者を比較すると,昭和44年では東京都は人口に比較して,むしろ分娩数は多かったが,同47年では同じ比率となり,同50年になってむしろ逆転していることがわかる。
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