研究・調査・報告
分娩時常位胎盤早期剥離をきたした一事例
河村 幸子
1
1住友別子病院産婦人科病棟
pp.40-43
発行日 1978年1月25日
Published Date 1978/1/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611205322
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
1.はじめに
常位胎盤早期剥離とは,子宮の正常位置に付着していた胎盤が,胎児の娩出に先立って,部分的または完全に剥離することにより,発生する症候群である。原因としては数多くのものが考えられているが,その大多数は妊娠中毒症と密接な関係があり,わが国では「常位胎盤早期剥離は中毒症の特殊型である」と定義されている。また臨床においては,鑑別上重要なものに前置胎盤があげられていることは周知の通りである。
今回私たちは分娩開始時期に「疼痛を伴わず直接の誘因もない外出血」という点から,前置胎盤を疑わせ,分娩第II期直前に,胎盤の約半分以上と思われる常位胎盤早期剥離をきたしたが,急速遂娩により幸いにも生児を得ることができ,母児共に障害を残さず退院に至った症例を経験したので,反省を加えながらここに報告する。
Copyright © 1978, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.