Medical Scope
仮死新生児蘇生後の問題点—(等2回周産期医学国際シンポジウムから……その4)
島田 信宏
1
1北里大学病院産科
pp.594
発行日 1977年9月25日
Published Date 1977/9/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611205274
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仮死で出生した新生児の予後をよくするには,どんな点に注意して管理していくべきなのか?大変古くて新しい問題点について,第2回周産期医学国際シンポジウムでは,カリフォルニア大学の産科と小児科の教授であるLouis Gluck博士が"Management of the Asphyxiated Neonate(仮死新生児の管理)"と題した講演のなかで,大変分かりやすく話してくれました。
それによると,仮死新生児の予後をよくするための大きなふたつのポイントは,仮死新生児での血栓や脳浮腫をなくすことだというのが結論なのです。仮死新生児は酸素がたりないのですから,末梢循環も悪くなっていることと重なって,脳の組織は浮腫をおこし,脳圧は亢進し,種々の神経系症状を無酸素性脳症として新生児が示すことを諸君はもうよく知っていることと思います。この脳組織の無酸素症に対する最初の病変である浮腫を治療するのに種々の方法がありますが,おもしろいのは最近ではよく用いられるマンニットールや尿素製剤,グリセロールなどが使われだしたことです。マンニットールは腎機能が悪化した妊娠中毒症例や,腎不全になりかかっている正常位胎盤早期剥離などでよく用いられるものですが,新生児にも応用されるようになったのです。
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