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胎児仮死・新生児仮死—第6回日本周産期学会シンポジウムから
島田 信宏
1
1北里大学病院産科
pp.525
発行日 1988年6月25日
Published Date 1988/6/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611207411
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第6回日本周産期学会はさる1月23日に大阪で開催され,一日がかりで,この表題の「胎児仮死・新生児仮死」というシンポジウムが行なわれました。今月は,そのなかから新しい知識をやさしく解説してみようと思います。
臨床的に胎児娩出時期の決定がむずかしい変動一過性徐脈では,その回復時に一過性に心拍数が増加して,オーバーシュート・アクセレレーションとよばれるパターンが出現します。こうなると胎児の脳実質のなかにはブドウ糖も少なくなるので早く娩出したほうがよいということを,東北大学グループが動物実験の成績から立証しました。また,東京大学グループでは人工保育装置を使って,羊の胎仔の200時間以上におたる胎外保育をなしとげ,胎仔に炭酸ガスを負荷したりすると頸動脈の血流量が低下してきて,脳波にも異常がでてくることがわかりました。これは臨床の面でも応用でき,胎児の頸動脈血流量の測定が胎児仮死の診断には大いに有益であるということです。すでに一部の施設ではこのような診断も実施されています。
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