Medical Scope
胎児呼吸—FETAL BREATHING—第2回周産期医学国際シンポジウムから……その2
島田 信宏
1
1北里大学病院産科
pp.451
発行日 1977年7月25日
Published Date 1977/7/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611205239
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胎児が羊水中で活発に動きまわっていることは,日常,私たちは妊婦の胎動を触知したり,肉眼で子宮壁上から実際にみたりしてよく経験していることですが,その胎児の運動性のひとつに,呼吸様の肺や胸廓の運動があることもよく知られています。これは,いつか,このmedical scopeのなかで紹介しましたが,英国のDawes博士が羊の胎児の呼吸様運動をきれいに捕えて発表したのが非常に有名です。Dawes博士は,数年前に日本の新生児学会に出席され,羊の胎児での呼吸様運動について講演され,その実際の映画も私たちにみせてくださいました。今でも,その素晴しい映像は深く私の眼にやきついています。
この胎児の呼吸様運動というのは,あたかも私たちが深呼吸するのと同じように,胸廓を広げたり,小さくしたりする運動のことです。羊では,この運動がよく観察され,妊娠の後半期になり,胎児が成熟すればするほど,その運動性は高まっていくのです。したがって,羊の胎児に,この呼吸様運動がみられると,胎児の肺は成熟したと考えられ,出生後も,RDSのような呼吸障害にならずにすむということになります。
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