助産婦事典
DIC—産科臨床での問題点
真田 幸一
1
1同愛記念病院産婦人科
pp.448-450
発行日 1977年7月25日
Published Date 1977/7/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611205238
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1.はじめに――DICとは
DIC(Disseminated intravascular coagulation――血管内凝固)とは,本来,凝固という現象が積極的に起こってはならない血管内において,汎発性に微細な凝固が生起し,血小板やフィブリノーゲンなどの凝固因子が,いわば"無駄に"消費されてしまう結果,血管外への出血が起こった場合には,その場所での末梢血の凝固能は,かえって低下し,止血し難い状態におちいるような現象を意味していると考えてよい。
DICという言葉のもつ臨床的な意味は,もちろん"出血"ということばかりではなく,血管内凝固によって生じた血栓そのものが原因となって招来される種々の障害,たとえば,血栓静脈炎や栓塞,あるいは血栓の多発による腎機能障害など,臨床各科全般にわたる多くの問題を包含しているが,われわれの領域,すなわち周産期の管理面では,はじめに述べた,汎発性の血管内凝固→凝固因子の過剰消費→末梢血の凝固能低下→出血,といったパターンを,主として念頭に入れておくべきであろう。
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