産科医がみた世界の素顔・7
新中国,特に教育および医療とその背景(7)
品川 信良
1
1弘前大学医学部産科婦人科学教室同医療技術短期大学部専攻科
pp.441-447
発行日 1977年7月25日
Published Date 1977/7/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611205237
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
第9章 今後の日中親善のために
最初にも述べたように,これからの日本は,米ソ両超大国のほかに,もう1つの隣りの大国,中国との関係を,どうしても円滑にしなければならない。たとえ中国の社会体制がわが国のそれとは著しく異なるとはいえ,(1)両国は一衣帯水である上に,(2)2000年来の交流をもっている,(3)また民族的にも民俗的にも極めて近縁関係に在るし,(4)今や中国の「国力」は,アメリカが躍起になって「封じこめ」ようとしても断念せざるを得なかったほど,大きくなっている。
特にみのがしがたいことには,(5)この国は,伝統的な西欧文明やソ連圏社会や日本などには欠けている何かを志向し,追求し,新しい価値観に立脚した「第三世界」の建設を,1つの大きな目標に掲げている。そして,米ソ日英仏独などの諸国に,単に追いつき追いこそうというだけではなく,これらの国々(の文化)に本質的に欠けているものを補い,より「恒久的な」,より「健全な」人間社会を建設しようという,「実験的な意欲」にも燃えている。
Copyright © 1977, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.