増刊号 産婦人科処方のすべて─すぐに使える実践ガイド
産科編
IX 分娩処置・異常分娩
産科DIC
金山 尚裕
1
1浜松医科大学産婦人科
pp.334-338
発行日 2014年4月20日
Published Date 2014/4/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409103755
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疾患の概要
産科DICは大きく2つに分類される.1つは出血→DICとなるもの,もう1つはDIC→出血である.前者は血管の断裂により大量出血となり,その結果,血液凝固因子が枯渇しDICとなるものである.子宮破裂,産道裂傷,帝王切開の縫合不全などが代表的なものである.DIC→出血は,常位胎盤早期剝離,羊水塞栓症,子癇,HELLP症候群,敗血症などが代表的である.出血も短時間に大量出血となることが多い.常位胎盤早期剝離の初期では切迫早産と同じような陣痛様の子宮収縮があるので,エコーや分娩監視装置による鑑別が重要である.胎盤に一致した圧痛も常位胎盤早期剝離の重要な所見である.出血は外出血を主体とするものと内出血を主体とするものがあり,内出血型は診断が遅れることがあり,常位胎盤早期剝離が疑われる例は注意して管理する.羊水塞栓症のDICは分娩後のサラサラした性器出血と重症の子宮弛緩症が特徴である.子癇では頭痛,眼華閃光,HELLP症候群では上腹部痛などがDICに先立って発生することが多い.子癇やHELLP症候群でもDICが先に発症するが,大量出血よりも脳出血,肝臓出血など重症の臓器障害をきたすことが多い.敗血症性のDICは感染兆候や原因不明の発熱などがDICに先行することが多い.
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