特別企画 よい乳を助産婦の手で/桶谷式乳房治療手技
助産婦の仲間を訪ねて・21
—富山・高岡市で乳房ひとすじ40年の桶谷そとみさんの場合—乳質がよく痛くない治療手技
藤原 美幸
1
1帝京大学病院
pp.428-431
発行日 1977年7月25日
Published Date 1977/7/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611205234
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■足がダメになってしまった桶谷さん
今年の冬は格別寒かった。観測史上記録的な寒さとなった頃,雪深い北陸の地,高岡市に仲間を訪ねました。
ホテルのスカイラウンジから,あきることなく降りつづく雪を眺めながら〈桶谷式乳房治療手技〉を,私たち助産婦共通の財産にするにはどんな方法があるだろうかと考えていました。雪はどんどん積り,時間ばかり流れてしまっても,ちっともいい考えは浮かんできません。「毎日,毎日,休むことなく,全身のあらんかぎりの力を使っている。そのうえ座ってばかりなので,すっかり足がダメになってしまいました。どこかに行って私の修得したものを皆様にお話ししようとしても,それもままならない状態です。どうしたら全国の仲間に理解してもらえるのか,いろいろ思い悩むばかりで,まったく情けないかぎりです」と残念がる桶谷さんの,悲痛ともいえる言葉だけが,頭の中をグルグルかけめぐるばかりでした。
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