特別企画 難病患者の理解と出産へのトライアル
ケース・レポートを読んで
衛生行政の立場から
わが国における難病対策について
古川 武温
1
,
森宗 勸
1
1厚生省公衆衛生局難病対策課
pp.486-487
発行日 1976年8月25日
Published Date 1976/8/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611205088
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1)はじめに
これはベーチェット病に悩む難病患者の分娩の貴重な報告であり,同じく難病に悩む患者,家族はもとより,患者をみまもる関係者に希望を与えるものである。難病患者の取扱いには高度の専門知識と医療技術を必要とするが,関係者の勇気とチームワークとによって種々の困難を克服し難病患者に出産の喜び,真の生の喜びをあじあわせる意義ははかりしれないものがある。今後もこのような成功例が増え,難病患者にとっても「案ずるより産むがやすし」となるよう,助産婦の方々のご努力に期待するところ大である。
概して難病はその成因はもとより,発症のメカニズムに対するわれわれの理解が未だ不十分な疾患であり,多くは病変部位の空間的ならびに時間的分布が広範にわたり,多彩な症状を呈するとともに,患者によってその現われ方がバラエティーにとんでいるので,その患者が妊娠・分娩に耐えうるかどうかの評価は主治医,ないし専門医との協議によって慎重になされねばならないし,経過中の変化に機敏に対処しうるチームワーク体制が必要であるが,そこには,これら関係者の「決断と勇気」も大いに必要であろう。
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