連載 エイズ対策を評価する・12
わが国におけるエイズ対策(中)
稲垣 智一
1
,
関山 昌人
2
,
上野 泰弘
3
,
川口 竜助
4
1東京都福祉保健局健康安全室感染症対策課
2厚生労働省疾病対策課
3東京都福祉保健局健康安全室感染症対策課
4大阪府泉佐野保健所地域保健課
pp.975-979
発行日 2006年12月1日
Published Date 2006/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401100706
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全部で満点を取ることはできない-薬物濫用感染
稲垣 ところで,薬物濫用,静脈注射ドラッグユーザー(IDU)への対策というのは,これまであまり重視されてこなかったと思うのです.いわば,「ダメ,ゼッタイ!」路線で薬物濫用自体を封じ込めれば,その経路からの感染は生じないということで今まで何となく来てしまった,結果オーライだったように思うのです.ただ,世界では,ハームリダクションをどう行うかが論点になっています.これから何か,あらかじめ戦略的にやらなくていいのでしょうか.
関山 今までの行政の取り組みは,すべからく満点を取ろうとしているという認識があります.これは非常に大胆な発言になるかもしれませんが,国において,やはりすべてきちんとやらなければいけない.ただ,国で御旗を振っても,それを実施するのは地方自治体です.地方自治体では,係長さん1人が一生懸命抱え込んで,いろいろな仕事をやっている.今回の予防指針の方針を決めることによって,本当に現場でこの5年間きちんとできるのかどうか,ということです.このためツールを持ち,優先度をきちんと明らかにしてやっていただくため,ソーシャルマーケティングの考え方を踏まえ,MSMと青少年対策に重点化したわけです.
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