栄養指導の実際
つわりの時の食事指導
西原 豊子
1
1東京都済生会中央病院・食養科
pp.56-57
発行日 1976年1月25日
Published Date 1976/1/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611204981
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つわりは妊娠という現象によっておこるもので,妊娠初期の妊婦の6〜7割の人にみられる。その程度,症状はさまざまで,主な症状はむねやけ,悪心,はき気,嘔吐,流涎があり,嗜好の変化,いらいらなど精神状態の不安定がある。
これをつわりといい,嘔吐が頻回くりかえされ,脱水状態となり,精神状態もおかしくなるような病的なものを一般に悪阻という。つわりと悪阻の境目ははっきりしないが,悪阻のときは入院治療が必要となる。つわりの原因は現在まだはっきりせず,着床した卵子の周囲にできる絨毛から不明の物質がでて,これが母体に作用して,自律神経の安定をおかしているためと考えられている。原因がはっきりわからない現在,つわりの治療に効果的なものはないと思う。つわりの期間,程度は個人差があり,一般に日頃から胃腸の悪い人,神経質な性格の人に多く,また強くあらわれるようである。
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