事例からみた産科医療事故・9
新生児室の火災・盗難(拉致)
大村 清
1
1大村産婦人科
pp.54-55
発行日 1976年1月25日
Published Date 1976/1/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611204980
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【まさかと思われる火災,盗難(拉致)の例】
例1 5人の新生児を収容していたA診療所でのできごと。ある日,当直のP准看護婦が食事に行った約15分間に,新生児室と隣接した勤務室から出火した。異様な嗅いに入院中の患者が不審に思い,廊下に出て勤務室から煙の出ていることを発見,大声をあげて他の患者を呼び,看護婦を呼びながら新生児室にとび込み,両手に2人の新生児を抱きかかえて外に避難した。入院患者は7名で5名が分娩(産褥)で入院中(うち1名は当日分娩),他の2名は切迫流産と卵巣のう腫手術後の患者で歩行可能であった。
この騒ぎに6名の従業員と医師は直ちにかけつけ,2階のトイレや1階の外来,配膳室,トイレなどから水を汲んで運び,消火に当たり,消防車もきて全焼は免れたが,2階の大部分を焼いてしまった。
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