わたしの分娩体験記
子を産んで想う臨床への里心
堀内 九美子
pp.613
発行日 1974年11月25日
Published Date 1974/11/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611204782
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今から2年前の12月23日の忘れられない出来事。結婚して8か月,私は子どもが欲しくてなりませんでした。いつも妊娠では? と期待し,そのたびにガックリしていたので半ば諦めて友人のする検査を見ていた私(私は助産婦としてある病院に勤務していました)。2分経過……「ワァー,ついにやった!」私も一人前に妊娠することができたのだと,まあその感激といったら今思い出しても心臓が高鳴ってしまいます。信じられないぐらいでした。
さてさて,それからすぐ気のせいか胃部不快を感じ,時がたつにしたがいはっきり妊娠だと思わせる諸々の症状を自覚しました。間もなく私は退職し,生まれてくる子の親となるべくその準備に専念しました。後3か月間というもの四六時中全身が怠く,胃はスッキリせず,嘔吐したり……。妊娠という喜こびの裏にある一種の試練に,時には投げ出したくなるような気持ちで挑戦したのです。
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