書評
「タタイ博士の性教育—思春期の愛と性を語る」—田多井 吉之介
長谷川 泉
1
1医学書院
pp.131
発行日 1974年2月25日
Published Date 1974/2/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611204670
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崩壌した庭訓を補う良書
日本の戦後の解放された雰囲気のなかで,性の知識はかなり普及した。ヴアンデ・ヴェルデや,キンゼーや,マスターズの本が,科学的知識を普及するのに一役買ったこともある。ポルノ解禁によるよごれた性への対抗として正しい性教育の普及も一役買っている。そのような動向を背景に考えても,さてよい性教育の本は,ということになると,なかなか適当な本がないというのが実情であったと思う。
今度出た「タタイ博士の性教育」は,生理学者としての基礎的知識に支えられ,かつ社会医学の動向にも関心を持ち,そのうえ医学知識を平易に修学普及する,かゆいところに手のとどく文章の書き手としては定評のある田多井博士の著書であるだけに,安心して性教育の指導書として推すことができる。
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