連載 私と読書
手元におきたい育児書—「はじめての赤ちゃん」を読んで
竹田 セツ子
1
1関東中央病院
pp.129
発行日 1974年2月25日
Published Date 1974/2/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611204669
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最近の日本の母親には,よく勉強する人が多くなったように思われます。一人の子供を育てるにあたり,育児書を1冊も手にせず育てた人はごく少数の人しかないのではないでしょうか。最近の人は周囲の人,年上の人の意見を聞くというよりは,まず本から学びそれを実行するというケースが多くなってきているように思われます。またわれわれの仕事も,昔のお産婆さんのように子供を取り上げることのみが仕事であった時代と違い,分娩介助することよりは保健指導ということに重点がおかれるようになってきました。
しかし今のお母さんたちは,最初にも書きましたが,よく勉強して来る方が多くなってきました。そこでわれわれ仲間の若い人たち,また母親の経験のない人たちが苦しむことになるわけです。母親の経験でもあれば,自分の体験から割出して,話をすることもありますが,本から学び,実習場所,勤務場所から学び,自分の知識を最大限に出して説明しても,お母さんたちを納得させることができないことが多々あります。そんな時ほど「自分は専門職なのにどうして」と悲しくなってしまいます。
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