ケース・レポート
血沈値10mm
近藤 英子
pp.48-51
発行日 1973年12月25日
Published Date 1973/12/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611204622
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はじめに
昨年母子保健研修会に出席したおり,最も印象に残った森山豊先生の『先天異常の原因と予防』の講演の中で,血沈検査の意義を説かれた。
妊娠すると妊娠初期から血沈値は昂進して,正常妊娠でも妊娠末期には1時間値50mm以上になる。これは血液中の線維素原が増加するためである。この線維素原があるので血液は凝固するのであるが,もし妊娠末期に血沈の1時間値が10mm以下の場合は線維素原が正常よりも減少している,すなわち低線維素原血症あるいは無線維素原血症の疑いがあり,このような場合には分娩時に血液凝固が妨げられて出血量が多くなるとか,あるいは出血が止まらず死亡原因となることもある。
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