リプロダクション
卵子の発生
鈴木 秋悦
1
1慶応大学医学部産婦人科
pp.68-69
発行日 1971年9月1日
Published Date 1971/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611204219
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卵巣の機能としては,卵胞ホルモン(エストロゲン)や黄体ホルモン(プログステロン)などの女性ホルモンを産生する働きと,生命の誕生の最も基本的な単位である卵子形成能があげられる。
卵子は,卵細胞として胎生の第4-6週頃に,性隆起として発生してくる。その後,胎生8週前後になり,第2次性腺の分化が起り,卵巣としての形態がつくられる。最初,卵原細胞あるいは生殖原細胞と呼ばれる性細胞が性隆起への移行を完了した時期になると,性細胞の中の核の分裂状態は,精子や卵子に特有の細胞分裂である減数分裂の第1期の前期に入っているといわれる。すなわち,家兎やヒトなどの若干の例外を除くと,ほとんどの哺乳類で,出生時の性細胞は減数分裂の最期まで分裂している。ヒトの卵巣は,出生時約500,000の卵子を有しているといわれるが,生れてからは,この卵子の数は分裂して増加していくことはなく,更年期になって排卵がなくなるまでの時期に,毎月1個の卵子を失っていくことになる。性成熟の期間が女性の一生のうちの約30年間であるとして,約400回排卵すると仮定しても,500,000個の卵子のうち0.1%にすぎなく,残りの99.9%は,排卵することなく閉鎖卵胞の中で死滅していくことになる。
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