連載 今月のニュース診断
卵子凍結,卵巣移植,卵子提供―自分のために,他人のために,医学のために
斎藤 有紀子
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1北里大学医学部医学原論研究部門法哲学・生命倫理
pp.1032-1033
発行日 2004年12月1日
Published Date 2004/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1665100867
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癌治療学会の提言
2004年10月,日本癌治療学会は,がん患者が自分の卵子を将来の妊娠・出産に備えて凍結保存する医療を広く臨床応用するのは時期尚早とし,医師が研究目的で慎重に進めるべきだとする提言をまとめた(日経10月28日)。
現在,一部の不妊治療医は,化学療法・放射線療法などのがん治療を行なう前の患者の将来の挙児に備えて,精子や卵の凍結保存を実施している。不妊治療医とがん治療医との連携が不可欠だが,必ずしも両者の意思疎通の機会が十分でなく,しかも卵子凍結の場合,がん治療医に患者への影響(卵採取・体外受精に伴うもの)が見えにくいことから,実施に慎重ながん治療医と,患者の挙児可能性を断ちたくない不妊治療医との間で,見解に温度差が生じていた。
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