連載・4
実地臨床における産科MEその4
坂元 正一
1
,
藤井 仁
1
1東京大学医学部産婦人科学教室
pp.76-82
発行日 1971年1月1日
Published Date 1971/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611204060
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分娩時のMEによる監視の必要性
私たち医師や助産婦は,分娩のときに母体の状態,胎児の状態さらに分娩の進行状況などについて常に注意と監視をおこたりません。そしていくつかのチェックしなければならない項目については,とくに経過用紙やパルトグラム(分娩経過図表)に記入しています。しかし,監視を十分にと心掛けているつもりでも,かぎられた設備と入手ではその内容に限界があることは当然です。ことに分娩時の監視は,多くの場合にある程度予定された時間内で終了する手術時の監視と異なり,勝負が長時間にわたるのが普通であること,また手術後の監視にくらべると,時間経過に伴って母体胎児ならびに両者の相互にかかわる生理的諸現象の変動が起こりやすく,変化も急なことが多いことなどのために,密度の高い監視が必要とされます。そのためには十分な人手がなければなりませんが,現今の医師,助産婦の不足ではとても充足は望めません。監視の目的を考えれば,員数だけの問題ではありません。そこで,総論の項で述べたように,エレクトロニクスを導入して,人手や時間の節約,ME機器を使用することによってはじめて得られる生体情報の獲得,長時間にわたる連続監視の容易性,情報の定量化,いくつかの情報の同時把握と関連性の分析,そして遠方からの情報の集中化などの利点を,上手に活用する意義が生じてくるわけです。分娩時のMEの使用について,母体の監視,胎児の監視および分娩の進行状況の監視と項目をわけて考えてみましょう。
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