連載 講座 母子保健・4
出生前に原因のある小児の疾患
小宮 久子
1
1東京大学医学部保健学科母子保健学教室
pp.59-63
発行日 1970年7月1日
Published Date 1970/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611203957
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はじめに
小児の生命は母体内に卵が受精した時に始まる。受精卵という1個の細胞が卵割をくり返して細胞の数を増し,さらに分化して体を形づくっていく。ところがその発生の途上で何らかの原因が働いて,奇形その他種々の異常をおこすこともまれならず起り得る。すなわち先天異常として,母子保健にたずさわるものが重大な関心をはらわなくてはならない症例である。このような出生前に原因のある疾患を研究する学問が出生前小児科学と呼ばれている。以前多かった肺炎や消化不良症の治療法がすすみ,死亡率が低下するにつれて,先天性各種疾患の占める意義がクローズアップされてきた。
先天異常の分類にはいくつかの試みがなされているが,次のような発生時期による分類は理解しやすい。すなわち
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